毛筆書写検定1級合格までの道~合格率と難易度~

2022-10-10

6月の文部科学省後援【毛筆書写技能検定】1級試験に無事に合格できました。ただし、1回で受かったわけではなくかなり時間が掛かっています。

毛筆書写技能検定とは?

毛筆書写技能検定は文部科学省が後援する書道唯一の公的資格です。履歴書を例に挙げると、通常の書道団体の等級は特技の欄に書けますが、毛筆書写技能検定は資格の欄に書くことができます。

試験は理論問題と実技問題があり、書道の知識と技術を幅広く習得する必要があります。実技では実用書道と芸術書道の両方の技術が必要になります。

「私は書道3段です」
「僕は書道8段です」
「おれは書道師範だぜ」

と言っても、民間の書道団体の等級はそれぞれの団体の基準に寄るのでレベルがバラバラです。

その点、書写検定であれば普遍的なので、書道の知識と技術のレベルを図るにはとても分かり易い基準となります。

毛筆書写技能検定の合格率

毛筆書写技能検定は5級から1級まででしたが、最近6級と準2級が新設されました。対象程度と合格率は以下のとおりです。※合格率はここ数年の目安です。

  • 6級(小低学年程度)…不明
  • 5級(小3年以上程度)…95%前後
  • 4級(中・高程度)…90%前後
  • 3級(中・高程度)…70%前後
  • 準2級(高・大・一般程度)…不明
  • 2級(高・大・一般程度)…40%前後
  • 準1級(高・大・一般程度)…20%前後
  • 1級(大・一般程度)…10%前後

毛筆書写技能検定は誰でも受験する事が可能です。また、どの級から受けることも可能なので、腕に自信があればいきなり1級から受けることもできます。

>>>(一財)日本書写技能検定協会公式ホームページ

毛筆書写技能検定の難易度

毛筆書写技能検定の難易度は一概には言えませんが、やはり合格率が参考になると思います。1級の場合、楷・行・草・隷・かな、それぞれ一定以上のレベルが必要で、1つだけ突出していても難しいでしょう。

10%前後の1級合格者のうち、大学生の合格率は50%前後と非常に高く、これは書道の知識や技術をまんべんなく学んでいる人が強いことの証明になっていると思います。

書道塾や競書誌で学ぶにしても、様々な書体を学んでいる方が合格の可能性は高いと思います。さらに得意な書体があれば最高ですね。

毛筆書写検定1級までの道

ここから自分の話をします。僕が学んできたのは賞状の書き方実用行書です。つまり、細字の楷書細字の行書です。

漢字かな交じり(2・準1・1)、掲示文(2・準1)、ハガキの宛名(準1)、賞状(1)は学んできたことなので特に苦労しませんでした。

半紙に文字を書くこと・条幅に書くこと・草書・隷書・仮名はゼロから独学で学びました。ゼロから独学というと大変そうに聞こえますが、好きなことの知識や技術の勉強なので、実際はかなり楽しんでいました。

毛筆書写検定1級までの戦績

平成27年度第3回試験(1月)
【硬筆2級】・・・合格
【毛筆2級】・・・合格

平成28年度第1回試験(6月)
【硬筆準1級】・・・合格
【毛筆準1級】・・・不合格・理論のみ合格

平成28年度第2回試験(11月)
【硬筆1級】・・・不合格・理論のみ合格
【毛筆準1級】・・・合格

平成28年度第3回試験(1月)
【硬筆1級】・・・不合格(理論免除)
【毛筆1級】・・・不合格・理論のみ合格

平成29年度第1回試験(6月)
【硬筆1級】・・・合格
【毛筆1級】・・・不合格(理論免除)

平成29年度第2回試験(11月)
【毛筆1級】・・・不合格(理論免除2回目)

平成29年度第3回試験(1月)
【毛筆1級】・・・不合格・理論のみ合格

平成30年度第1回試験(6月)
【毛筆1級】・・・合格

硬筆1級が3回目で受かったので、毛筆も3回を想定したのですが5回もかかってしまいました。理論は失敗したこと無いのですが・・・。まあ、受かったのでなんでもいいです。

毛筆書写検定1級までの道~合格率と難易度~
毛筆書写検定1級までの道~合格率と難易度~

時間配分は完璧だった!

5回も受けたので、すっかり試験慣れしてしまい、3回目あたりから時間配分は完璧でした。以下、実際に行った実技問題を解く順番です。

  1. 第6問 賞状(A4サイズ)
  2. 第4問 かな臨書
  3. 第2問 約50文字の行書文を書く(半紙)
  4. 第1問 漢字5文字の『楷・行・草』(半紙)
  5. 第3問 古典臨書(漢字)
  6. 第5問 創作作品(半切)
  7. 賞状の消しゴム掛け
  8. 余った時間と紙で書き直すなど

賞状のレイアウト線は乾かないと消せないので、最初にやってしまうのがポイントです。あとは、硯に出す墨汁の量も考慮して、小筆⇒中筆⇒大筆の順番です。

創作以外は1枚一発勝負で書きます。出来の良し悪しは後回しで、とりあえず提出できる状態にします。そして、余った時間に余った紙で出来の悪かった作品の2枚目以降を書いていきます。

結構、戦術を練って挑んでいたのです。

無いのなら作ってしまえ!

ということで書写検定攻略教材を作成しました。(AmazonKindle版)

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