必要ない?正しい書き順(筆順)の必要性とは

2019-04-20

漢字を書くときに『正しい書き順(筆順)』は重要なことでしょうか?字形さえ合っていればいいのではないでしょうか?ここでは『正しい書き順(筆順)』について考えてみます。

インスタで絶賛ポスト中

最近、インスタグラムに『漢字の筆順』の動画をポストしています。小学校1年生で習う漢字から、間違いやすい漢字をリストアップしてポストしています。

インスタにアップしている『漢字の筆順』の動画
インスタにアップしている『漢字の筆順』の動画

基本的に鉛筆で書いていたのですが、時々毛筆でも書いています。だんだんと慣れてきて、動画に筆順の数字を入れたりもしています。

結構コメントもいただいていて、「間違えていました」「勘違いしていました」といったものをよくいただきます。

そんな、漢字の筆順動画をインスタにポストしている自分が言うのもなんですが、そもそも漢字の筆順って重要なことなのでしょうか?

漢字の筆順

現在使われている漢字の筆順は明治時代に作られたものがほとんどです。楷書の筆順はこれといった正解も無かったので、キチンと定めて学校で教えたようです。

楷書の筆順を作る際、最も参考にしたのは行書です。行書の書き方を考えると、筆順が予想できます。

現在、日本と中国では筆順が違う文字がいくつかあります。例えば『田』の三画目は、日本は縦画、中国は横画です。中国の古典の多くは縦画からに見えるのですが、きっと採用した古典が違うのでしょう。

筆順は必要か?

『筆順は必要か?』の問いに対しては、書道をやっている立場の人間として答えるなら、筆順は必要ですしとても重要です。書道をやる人はしっかり守った方が良いでしょう。

書道の場合は、楷書の正しい筆順を知ったうえで、自分なりの筆順にアレンジするといいと思います。まあ、隷書は楷書の筆順では書けませんしね。

しかし、一般生活では無理強いはできません。必要ないと考えているのなら、それでいいと思います。文字は意志が通じることが重要であり、筆順が絶対ではありません。

筆順が必要な理由

ただ、美文字を書きたいと思うなら、どうしても筆順は重要になってきます。

筆順は美しい字形になり易いように考えられています。また、筆脈に沿った流れになっています。つまり、理にかなった順番になっているのです。

筆順には法則があり、小学校低学年で学ぶ漢字の法則さえ知ってしまえば、難しい漢字になっても筆順は自然とわかります。

文字の理にかなった書き方をすれば、自然と字形が整い、美しい文字を書くことが容易になっています。美文字を習い始めても上達は速いでしょう。

行書の方が重要

また、行書を学びたのなら筆順はさらに重要になります。

上述したように、今我々が習っている筆順は行書をもとにしていることが多いです。行書は筆脈を大事にするので、筆の自然な流れに沿っています。

行書は崩し方の法則もあります。行書こそ適当に繋げて書いてしまうと我流ととられるだけでなく、誤字にとられかねません。

最近は、『筆順なんて関係ない』という書き込みをネット上でよく見かけますが、行書を知っているとこの発想は浮かばないと思います。

戦前まで小学校でも行書を教えていました。行書は自然な筆順を覚えることができるので、楷書でも筆順に疑問を持つということもなくなるのです。

筆順を守った方が良い漢字

ここまで、いろいろと書いてきましたが、結局言いたいことは『筆順は守った方が良いけど、神経質になる必要はない』です。

僕のように文字を書くことのプロであれば筆順は絶対です。でも、一般生活で困らなければ、ある程度知っていれば詳しくなる必要は無いでしょう。

ある程度というのは小学校低学年程度で学ぶ漢字です。つまり、義務教育で学ぶ漢字の基本的な筆順だけで充分なのです。

ただ、筆順を守った方が良い漢字もあります。

【右】【有】【希】・・・

これらの漢字は筆順間違いあるあるですね。成り立ちを知ると理解できますが、それはまた別の機会で解説します。

小学校の先生に知ってもらいたい事

小学校では、筆順に関する問題が出題されると思います。その時に、簡単に【×】をするのではなく、本当に間違っているか調べてください。

筆順は複数あることは珍しくありません。2種類は当たり前、3種類・4種類あることもあります。

僕も疑問に思う文字はすぐに調べています。

筆耕士愛用の漢字筆順ハンドブック
筆耕士愛用の漢字筆順ハンドブック

調べてみて生徒が書いた筆順が間違っていなかった場合は「この書き方も間違いではないが、小学校では教科書通りで書いて」と説明してあげてください。※選択問題がメインでしょうから、滅多にないとは思います。

これは『字形』に関しても同じことが言えます。漢字は許容が広いので、学校の先生であれば、ある程度の知識をつけてください。

何故こんなことを書いたかというと、
「息子の漢字テストで点の角度が悪いから×」
「ハネの角度が悪いから×」
「画と画が接していないから×」
「島の山の位置が悪いから×」
という理不尽なインスタのポストをたくさん見かけたからです。

また、書道教室に通っている子供が、その通りに学校の書写の時間に書いたら、学校の先生に叱責されたという話も聞いたことがあります。その後、この子供は文字が委縮してしまったということです。

理想ですが、学校の先生も文科省の書写検定2級くらいは持っていてもらいたいです。文字を綺麗に書くことも重要ですが、それ以上に筆順や漢字の許容について学べますので。

まとめ

最後はちょっと真面目な話をしてしまいました。ご批判もあるでしょう。しかし、文字を書くプロとして、このような啓蒙は続けていきたいと思っています。これも使命です。

さて、筆順についての考えですが、書道をやる人、美文字を目指す人は、常に意識した方が良いでしょう。

一般的には、右・有・希など、間違えていはいけない漢字以外はそんなに神経質になる必要はありません。※常識的な範囲でね。

漢字は許容が広いので、おおらかな気持ちで楽しみましょう。

あれ?うまくまとまらないなぁ。

おわり

◆賞状の通信講座をお考えの方へ

筆耕のお仕事に興味がって、賞状の通信講座を考えている方におすすめの4講座です。それぞれ書風に特徴を持っているので、資料請求して見比べてみてください。※賞状筆耕プロコースは僕の講座なので、僕のような書風になります。

たのまな賞状技法士講座の資料請求

ユーキャンの賞状書法講座の資料請求

がくぶん賞状書士講座の資料請求

筆耕コムの賞状筆耕プロコース