筆の重さを感じた時ブレイクスルーは起こった!練習と上達の関係について
こんにちは、書道家で筆耕士の清水克信です。今回は筆耕士を目指す方や書写検定を目指す方の為に、僕自身が考える練習と上達の関係についてご紹介します。
毎日練習をしていても上達自体は微々たるものなので、毎日上達を実感することはできません。でも、ある時『ハッ』とすることがあります。これがブレイクスルーです。
僕自身が大きなブレイクスルーを体感したのは『筆の重さを感じた時』でした。
書道の上達グラフ
僕が考える上達はグラフのような感じです。これは書道だけでなくスポーツや音楽、そのほか全ての技術に共通していると考えています。
毎日練習すると上達しますが、それは微々たるものです。なかなか実感することはできないでしょう。
でも、突然目に見えて上達することがあります。これがブレイクスルーです。『壁を超える』とか『覚醒する』ということと同じ意味です。※グラフの赤丸の部分
亀の歩みでしか上達していなかったのに、ある日突然ウサギさんになってしまうのです。ドラクエのようなRPGで言うとレベルアップです。
例えばスポーツは分かりやすいです。スポーツは一気に上達して全国クラスの選手になることがあります。また、学生時代は無名だったのに、社会人になったらトップ選手になることもあります。これは、ブレイクスルーのタイミングが早いか遅いかの話です。
ギターでもそうです。これまで弾けなかったソロが弾けるようになると、同じレベルのソロならすぐに弾けるようになります。
そして書道ですが、同じようにブレイクスルーが発生します。
筆の重さを感じた時
書道でブレイクスルーを感じるときは色々ありますが、僕自身が最も大きく感じることができたのが『筆の重さを感じた時』です。
筆というか筆記具ですね。
万年筆はもともと重いので分かりやすいですが、えんぴつやボールペン、そして、軽い細筆でも重さを感じる事ができるようになった時、明らかなブレイクスルーを感じました。
「あっ、そういう事か」
これは、ゴルフ・剣道・野球などの道具を振り回すスポーツなら分かりやすいのですが、これらを振り回すときは腕力に頼らずに道具自体の重量を利用します。
だから完璧に当たった時は抵抗すら感じないそうです。ボクシングもそうだと聞きました。完璧にミートすると拳に抵抗が無く抜ける感覚になるそうです。
筆は筆圧を掛けるときに下に圧を掛けますが、ほんの少しで十分です。力は筆を持つ時に支える程度で良いのです。
ということは、王羲之と王献之の伝説も疑問です。
王羲之が、書道の稽古をしている息子の王献之の筆を後ろからそっと引き抜こうとしました。しかし、王献之は筆をグッと握っていたので引き抜く事ができませんでした。
そして王羲之は「お前はしっかり筆を握っているから書道が上達するだろう」と言いました。
・・・そんな、馬鹿な!
話がそれましたね。とにかく、僕が感じた『筆の重さを感じた時』とは、筆に無駄な力が入らない感覚を知った瞬間ということになります。
書道上達への近道
僕も上達のために日々練習しています。死ぬまでに自分の理想の字が書けるようになる!のがライフワークと言っても過言ではありません。
もちろんたくさん練習すれば上達しますが、漠然と練習量だけ増やしてもあまり意味がなく、考えながら練習するのとは大きな差が生まれます。
考えながら練習するということはとても重要で、それは結果としてブレイクスルーを探し出す行為になります。
ブレイクスルーを探すと言っても難しく考える必要はありません。
「もっと力を抜きながら書こう」
「横線と縦線の関係は?」
「偏と旁のバランスは?」
「筆の入りの角度は?」
・・・
・・・
・・・
そんなことを考えながら練習すれば勝手にブレイクスルーは起こります。
練習しているのに思うように上達しないとお悩みなら、ぜひお試しください。
おわり
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